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大原佳乃さん、第37回全国中学生人権作文コンテストで内閣総理大臣賞を受賞

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Dec 2017

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法務省人権擁護局・全国人権擁護委員連合会主催、第37回全国中学生人権作文コンテストで会員の大原佳乃さんが最高位の内閣総理大臣賞を受賞されました。

全国中学生人権作文コンテストについては、このページをご覧ください。

また、入賞作品の全文は以下よりご覧になれます。

第37回(平成29年度)全国中学生人権作文コンテスト入賞作文集

みんなと一緒に高校生になる

兵庫県神戸市立垂水東中学校3年 大原佳乃(おおはらかの)

「みんなと一緒に高校生になる。」
 これが私の今年の目標です。なぜ,この目標にしたかというと,私にとって高校生になることは決して簡単なことではないからです。
 私は「先天性表皮水疱症」という難病と闘っています。この病気は皮膚と粘膜が弱く,少しの刺激でも傷になってしまう病気です。いつも全身に傷があり,その傷の痛みとかゆさが常にあります。また,毎日,全身の傷に薬を塗り,ガーゼを交換するのに最低でも三時間はかかります。お風呂に入ったり,傷の状態がひどかったりすると,五時間以上かかることもあります。その治療を生まれたときから毎日欠かさず,母と祖母にしてもらっています。そのために,私も家族もいつも寝不足の状態が続いています。
 それでも,学校を休みたいと思ったことはありません。それは,学校が楽しいからです。授業での先生のお話や新しく習うことはどれも興味深いです。友達もみんな優しくて,一緒に勉強したりおしゃべりしたりするのがとても楽しいです。どんなに眠たいときでも学校に行けば気持ちがしゃきっとします。それは,学校に行って勉強することで友達とつながれると思うからです。だから,中学校で学校生活が終わるのではなく,絶対に高校へも進学したいと願っています。
 しかし,現実は厳しいものでした。これまでに何校かの高校へ見学に行きました。高校の先生方は丁寧に対応してくださいました。中学校以上に広い校舎やグラウンドに驚きました。また,特別教室も充実していて,こんな素晴らしい環境で私も勉強したいと強く思いました。しかし,電動車いすで生活する私にとって絶対に欠かせないエレベーターすらない高校も多く,選択できる学校は限られます。また,障がいのある生徒を積極的に受け入れてくれようとする学校も少ないです。「自分のことが全部一人でできること」という条件を突き付けられ,受け入れを断られた学校もあります。大学病院のリハビリに通い,工夫して自分でできることが増えるようにそこの先生から指導を受けていますが,どうしても一人ではできないことがあります。そこを中学校では,先生や特別支援員さん,友達が手助けしてくれています。今,充実した学校生活が送れていることに,改めて感謝の思いがこみ上げてきます。しかし,高校見学では「義務教育ではないので,中学校のようにはサポートできない。」と,どの高校でも言われました。支援が全くないなかで,一人で高校生活を送れるのかとても不安です。高校進学が目の前に迫ってきた今,私が生活している「ふつう」と健常者の「ふつう」にはとても大きな差があることを思い知らされ,今まで味わったことのない厳しい現実を突きつけられています。
 それでも私は,高校へ進学し,勉強を続けたいです。障がいがあるからといって,一人で家に閉じこもって生活することは絶対に嫌です。今まで地域の幼稚園・小学校・中学校で学び,たくさんの人と出会い,たくさんの人に助けてもらいました。そして,その手助けに応えようと自分自身も一生懸命努力してきました。その努力をここで終わりにはしたくありません。「たくさんの友達と関わりを持ちたい。いろんな体験を積みたい。自分ができることを探したい。自分がやりたいことを見つけたい。」高校生活に大きな期待と挑戦したいという願望を持っています。そして,それらを糧にして仕事に就き,社会とのつながりを持ち続ける未来を切り開いていきたいです。
 リハビリの先生から「障害者差別解消法」という法律ができ,法律では障がい者に対し「必要かつ合理的配慮」をするように努力をしなければならないと決められたと教えていただきました。しかし,それが実現されていると言えるでしょうか。入学試験を受けることなく,受け入れを断られました。支援はできないと言われました。誰の支援も望めないのなら,母は「毎日でも私が高校へ行く。」と言ってくれています。しかし,今でも私のために自分の時間が全く取れない母にこれ以上の負担をかけたくはありません。勉強したいという意欲があれば,障がいがあっても安心して進学できる支援を受けられる社会になってほしいです。
 「あなたのような前例はないから,できない。」と,これまでいろんな場面で断られることがありました。私のような難病と闘っている中学生はほんの数人に過ぎないからでしょう。しかし,今回は前例がないからと言ってあきらめることはできません。前例がないなら,私自身が前例を作ります。「電動車いすの高校生」にみんなと一緒になりたいです。